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    東北の美術館 〜 岩手県立美術館

    • 2016.03.11 Friday
    • 15:15

    岩手県立美術館 ロビー
     
    東北の震災から5年。 みなさん、様々な形で東北に思いをはせておられると思います。


    素敵な美術館が各地にありますが、特におすすめしたい美術館のひとつに「岩手県立美術館」があります。
    写真にあるような巨大なロビーが印象的ですが、寒い日にこの空間に入るとホッと包まれるような気分になります。日本海側ほどの大雪にはならないエリアでしょうが、長い冬に天候を気にせずのびのびと過ごせる場所は、地域の方々にとっても貴重だろうなと思います。


    公立の美術館は、教育上の目的もあってコレクションが総花的になる傾向があるように感じますが、この美術館は違います。
    コレクション展だけで深く楽しめる美術館なのです。
    • 萬鐵五郎
    • 舟越保武
    • 松本俊介

    この3名のためのゆったりとした展示室があり、そこでじっくり過ごすだけで大きな満足感が得られます。
    まったく異なる表現を追究した3人ですが、舟越保武と松本俊介は同じ中学で交流があったことをここで知り、夭折の俊介と舟越保武が同い年だったのかと驚いたことを思い出します。今とは比べ物にならないほど苦労の多かった時代に生きた画家たちの生きざまに向き合える場所です。


    公園に面したレストランも素敵で、窓をたっぷりとった室内で一人物思いにふける中年の男性が絵になっていたのを覚えています。
    外観は「ハコモノ」という悪しき呼び名が一瞬頭をかすめるぐらい、その巨大さに圧倒されるのですが、先に書いたとおり中に入ると別の感覚に包まれるのが印象的です。


    舟越、松本の二人が生まれたのは1912年。その約100年後に起こった未曾有の震災は、芸術の存在意義をあらためて問うほど人々の精神を追い込みました。被災された方々にとっては「芸術」「アート」という言葉は今でも空しく響くかもしれません。
    個人的なことになりますが、難病で闘病していた父を震災の2週間後に亡くした私も同じでした。一番すさまじいアート体験は肉親の死ではないかと思いましたし、その思いは今も変わっていません。

    しかし、やはり芸術やアートには不思議な力があると思います。コマーシャリズムを無視できない現代では難しい面もありますが、アーティストの表現には、見る者の無意識の中にある「なにか」を刺激してくれる力があると、私は感じます。

    肉親の死ほどの衝撃ではないけれど、萬や舟越や松本たちが追い求めた何かと対話しつつ自分とも語ることで、一歩を踏み出す力をもらう。。。 

    岩手県立美術館に行かれたら、ぜひ2Fのコレクション展にお運びください。そして、東北の底力に触れていただければ幸いです。






     

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