スポンサーサイト
- 2018.02.26 Monday
一定期間更新がないため広告を表示しています
- -
- -
- -
今年に入って東京では初めての氷雨の中、毎日文化センターの講座で『並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑−透明な黒の感性』展に行ってきました。会場は東京都庭園美術館で、とても寒い日なのにそこそこ来館者があってちょっと驚きました(参加のみなさんはほんとに気の毒でした(*_*;)。没後初めての大回顧展ということもあって、楽しみにしていた方が多いのかもしれません。
東京都庭園美術館 http://www.teien-art-museum.ne.jp/
並河靖之は、明治時代に有線七宝の技とセンスを完成させ、海外にも多数の作品が紹介された工芸家です。会場最奥の新館スペースでは現代の有線七宝の製作工程が紹介されていますが、これを見てから作品を見ると並河の技術とセンスがいかに超絶かということがよくわかります。師匠もおらず材料も乏しい中で試行錯誤し、1代でこの工芸美を完成させ“並河ブランド”を築いたとのことですが、あらためて信じがたい気持ちがわいてきました。
私がいちばん欲しかったのは『四季花鳥図名刺入』。 可愛いサイズといい意匠といい、もちろん美しさや技術の高さと言い、これは現代でも絶対ヒットするアイテムかと思いますが、再現するのは不可能ではないかとも思えます。 ガレなどアールヌーヴォーの作品が急速に飽きられたように、並河の有線七宝もまた1代でそのピークを終えますが、その繊細なさまをみると、あらためて現代に注目されるのがわかる気がします。
今回、19世紀後半の世界のセレブたちが愛好したであろう作品が、アールデコのおしゃれな庭園美術館に陳列されるとのことで、その取り合わせも楽しみにして訪問しました。もう少し展示空間と作品が響き合えばよかったかなと思ったのではありますが、なににせよ大変贅沢な展覧会でした。
なお、彼の京都の邸宅が記念館として公開されていますので、ぜひお訪ねください。
雨の中でしたが、ティータイムは外苑西通りのお店へ移動。このあたりは結婚式の二次会用のお店が多いようです。
みなさん、壺やお皿など、思い思いの並河作品を“お持ち帰り”してくださいました。
来月の講座は念願の『ミュシャ展』に行きます。
ミュシャ(ムハ)もアールヌーヴォーの寵児でありながら20世紀に中ごろには忘れられてしまった芸術家、と言えるかもしれません。しかし彼の後半生は新たな世界を追求してまったく異なる大輪の花を祖国チェコに咲かせました。その風景を見に行ってきます。
「小田野直武と秋田蘭画」展 サントリー美術館
2016年の最後を飾る展覧会、昨年からとても楽しみにしていました。前回の秋田蘭画展は2000年の開催と聞きますので、実に16年振りということになります。
秋田蘭画、、、耳慣れない方も多いかと思いますが、これは江戸時代のほんの数年間、秋田・佐竹藩の小田野直武(武士で絵師)を中心に追求された蘭画のことを言います。“蘭”だけでなく中国絵画の影響も強く受けていて、東洋と西洋の融合が試みられた実に不思議な印象の絵画作品群は、その誕生のきっかけが平賀源内や解体新書ということもあり、展覧会会場はさながら歴史展の様相も呈していました。
「世界に挑んた7年〜小田野直武と秋田蘭画」サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_5/index.html
注目作品はポスターにもなった『不忍池図』↑で、私もこれを目当てに参じましたが、他にも不思議な力作が多く、結局私のお持ち帰り作品は直武の『雷魚(ハタハタ)』に決まりました。
参加されたみなさんの評価は分かれましたが、どちらも「なるほど」と考えさせられるものでした。
ひとつは「中途半端な印象の作品が多かった」というもの。これは、蘭でもなく中華でもなく和でもない、という表現のありようから感じたのだろうとのことで、なるほどもっともだなと思う点も多々ありました。
もう一つは「なんでも吸収したいという画家のエネルギーに共感した」というもの。これももっともと感じる印象で、源内との出会いを契機に阿蘭陀カルチャーに衝撃を受け、同時に中国絵画の写実性にも魅了された直武の興奮が、緻密な作品からにじみ出ています。
いずれにせよ、まさに「短くも美しく」燃えきった(夭折した直武自身はもっと燃えたかったでしょうが)秋田蘭画は一見の価値ありです。
お仕事訪問の展覧会はこれが最後でしたが、個人旅行でやっと「現美新幹線」に乗ってきました。ミドル〜シニア世代が多くてビックリ! 現代アートがいっそう身近なものになってきているんだな〜と実感しました。
どんな印象だったか、、、 この奇抜なシートの様子から想像してみてください。またぜひ乗ってみたいです!
それではみなさま、良いお年を!
羽田空港第2ターミナル
6月の毎日文化センターはちょっとおもしろい場所にある美術館へ。
ディスカバリーミュージアム
羽田空港にできた美術館で、コンパクトな空間ながら、主に永青文庫のコレクションを楽しむことができます。
訪問した日は武者小路実篤がテーマの展覧会を実施していました。
武者小路実篤といえば『愛と死』『友情』などで、ある年齢から上の方々には課題図書的な存在の作家だと思います。昭和のある時期にはたいていのお宅に「仲良きことは美しき哉」という賛入りの某か(色紙とか、カレンダーとか)があったのではないでしょうか? 永青文庫の主、細川護立氏が実篤と仲がよかったとのことで、作品も所蔵されているようです。
展示されている実篤の描いた屏風。“味わい”があります(館内はフラッシュなしでの撮影可)
今回は、まずはユニークな立地の美術館を見たい、そして、空港の開放的な空気も楽しみたいという動機で訪問しました。そしてさらには「空港の美術館」についてみなさんとご一緒に考えてみたいとも思いました。
空港の美術館と言えば、なんといっても、オランダ・スキポール空港の「アムステルダム国立美術館」の分館が有名ですね。
「地球の歩き方」より
http://www.arukikata.co.jp/webmag/2004/0410/sp/041000sp_03_01.html
こちらもディスカバリーミュージアムに負けず劣らずコンパクトですが、オランダ絵画のエッセンスを感じられる作品が定期的に展示替えされて楽しめ、階下にはミュージアムショップもあり、追加のお土産をゲットできるスポットとしても貴重な場所になっています。
場所は国際線の中。つまり、出国してから滞在するエリアにありますので、世界中の方々が乗り継ぎ時間の合間に訪れることになります。乗り継ぎは半日以上の時間が掛かることもザラにありますので、気分転換にもいい場所かもしれません。
今回、日本にもようやく空港美術館ができる! ということで取り上げてみましたが、みなさんからは少々厳しい意見が出ました。
などなど。。。 料金は無料ですので(スキポールも無料)この点は評価されていました。もし有料なら、いくらなら入館するだろうかというシビアな議論もあり、なかなか興味深く白熱しました。
スキポールはヨーロッパの巨大ハブ空港です。ハブの国際線とアジアの国内線では前提が大きく異なりますが、もし、東京国立博物館の分館を空港に作るとしたら、どの空港のどこに作るかというところまで話が及んで、なんだか夢が膨らむ気分も味わいました。
ディスカバリーミュージアムは、とにもかくにも大きな第一歩を踏み出してくださったわけで、いろいろ辛口の意見は出ましたが、これで終わりではなく、第2第3の空港美術館を各地で模索していただけたら嬉しいです。
この日は早めに空港入りしてみなさんとランチも楽しみました♪ 第2ターミナルのフードコートはトルコやベトナムなどの料理が食べられるとのことで、私はトルコのランチプレートをオーダー。 スパイシーで美味しかったです(^^♪
あと、空港の各所でアートな取り組みがなされていて、このフードコートの椅子が評判よかったです。多くが異なる形で、どれもなかなかデザイン性が高く、座り心地がユニークなのもあったりして、けっこう盛り上がりました♪♪♪ しかも、おそらくリユース家具。貧乏くさい感じもなくて、なかなかよい試みだと思いました。
イタリアンなカラーが素敵
なお、プラスリラックスが一番印象に残ったのは、展望フロアに鎮座する、こちらの作品。
千住博 「MOOON」
牛好きな私としては外せない作品となりました。 奥の大窓からは、飛行機の離着陸が見学できます。天候に左右されないので、眺めているととっても気分転換になりますよ!
解散後、一人で空港内を散策していましたら、第1ターミナルでこんな企画をしていました。
素敵な企画でしたが、「え? こんなわかりにくい場所で?」(よほどの飛行機好きでないとアクセスしないエリだと思います)という展示でしたので、少々複雑でした。 ディスカバリーミュージアムも、このスカイギャラリーも、試みやチャレンジには拍手を送りたいですし、ぜひ継続していただきたいと思いますが、「いつになったら一等地に美術館が建つ国になるのかな〜」という思いも同時に感じてしまった空港の一日でした。 最後は、このスカイギャラリーの奥から屋外デッキに出て、飽きるまで飛行機を眺めて帰りました。
ピンぼけですが、空港の眺め。。。・ 曇天でした。